画期的な裁決が出ました。

 

 

2023年8月21日

 

当事務所が多数の顧問先と一緒に国税と闘ってきました“消費税還付”の税務調査について、1つ決着がつきました。

 

いわゆるサブリース方式といいまして、個人のアパート建築主と同族法人との間での賃貸借契約書において使用用途を居住用、事業用を問わないと明記することで居住の用に供することが明らかではないことになり、住宅の建築費に係る消費税が還付になる方法で、私が考えて、全国で240件は普及したやり方です。7年間で120件位税務調査があり、最初の10件以外はダメで税務署長の更正となって見解の相違として闘ってきたものです。令和2年4月1日から改正があり、契約のうえで住宅の用に供するものが明らかでない場合において「状況により」家賃が課税か非課税かを判断するという改正で当事務所のやり方を目の敵にして改正したといえると思います。

 

今回決着したのは、令和4年7月に更正された浦和税務署管内の1人の納税者がした2棟分のアパートの消費税還付について、いろいろな契約書その他により更正処分をするために、還付申告後5年間で更正をする権利がなくなるところ、1棟目が5年の更正期限を過ぎていたために5年以内の更正期間である2棟めで無理やり重加算税に持ちこんで更正の期間を7年にして、1棟目をも更正に持ちこむことにした事件です。

 

重加算税については、仮装又は隠ぺい、又は偽りその他不正行為が認定されなければいけませんが、浦和税務署は建築及びサブリース会社の大東建託グループが作成した、個人と同族会社の賃貸借契約書と、当事務所が指導した使用用途を居住用に特定しない賃貸借契約書の2通あることを捉えて私が指導した方の契約書(覚書)を消費税還付をするための仮装であり偽りその他不正の行為と認定して重加算税とし、2棟とも7年以内の更正期間内で更正したのです。

納税者法人は税務署の税務調査にも協力的で、還付目的が第一ではなく、居住用だけでは将来の賃貸ニーズの変化に対応できなくなるので自分の会社に貸すときにその考え方を孫子の代まで引き継ぐ、いわば“家訓”として賃貸借契約書を作成したと明言しているのに重加算税ありきで更正してきたのです。

今回の関東信越国税不服審判所の裁決では、「浦和税務署の主張には理由がなく、更正の期間制限を徒過してなされた本件各更正処分は違法な処分であり、その全部を取り消す」とされました。

 

更正ありきで、力技で押してきた国税局、税務署の勇み足であり、二兎を追う者一兎をも得ずの結論になりました。不服審判所は、無料で国税に関する不満を審理してもらえる国の最終機関です。国税出身者も多いですが最近は、税理士、公認会計士や弁護士も採用されており約10%は納税者側の勝利の裁決がなされているようです。

 

国の最終判断ということで、納税者が勝てば裁判をやる必要がなくなることが最大のメリットです。

浦和の納税者は特に高齢で、最高裁までやると90才を超えて生きていられるか分からないとおっしゃっていましたが今回の裁決で大変喜ばれていました。

とはいえ、税務調査と審査期間は3年近く、3,000万に及ぶ還付金と重加算税700万、延滞税500万、合計4,200万にもなるお金を私共と一緒に一たん税務署へ支払わなければなりませんでした。審査中、裁判中も延滞税が年利9%台で増加し、差し押えもあり得るからです。

還付しておいて税務調査、無理やり更正で7年やるために重加算税、この期間の延滞税、還付しておいて罪金扱いで根こそぎむしりとる。国家がこのようなことをしていて許されるのでしょうか?

 

今回はこれに鉄槌がおりましたが、何人かは重加算税に泣きをみました。国家が強権的にやることで人生が狂います。

今回は全部取り消しになりましたが、賃貸借契約において居住の用に供することが明らかなのかどうかについて本質的な争いが残っています。

 

これからも何十人もの顧問先と顧問弁護士ともども不服審査、裁判と闘っていきます。

ご期待下さい。

 

税理士法人 とりやま財産経営 代表 鳥山昌則

 

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