2023年の税務調査の傾向と対策

 

 

2024年1月10日

 

4月から12月迄季節に関係なく連絡が来たという印象、コロナ禍により3年間税務調査に出られなかった反動と思われる。

 

事例を報告する。

 

① 4月 製造業の法人

 

従業員約50人 先代を含めて30年で初めての税務調査 パート社員の架空人件費を疑い 11月迄5回に及び資料の要求と反面調査、あまりの“しつこさ”に請願書を提出し、抗議するも担当統括官が開き直り反発、上級統括官に入ってもらい11月に決着→わずかの修正申告で済みましたが次の税務調査で問題にならないように合法的な抜本的対策に向けて別会社を設立することにした。

 

② 5月 公共施設の現場監督業 法人

 

役員従業員3名 繰越欠損金あり 社長の役員報酬400万 無報酬の役員が別法人で税務調査にあい、その関連法人として選定されたものと考えられる。→社長の出張日当が問題にされたが、実際に長期間の宿泊を伴う出張があることが判明し、申告是認となる。

 

③ 6月 中古オートバイの買いとり販売会社

 

役員従業員3名 販売履歴はあるが仕入、在庫の証拠があいまいのため、社長がこれを補完し、作成、かなりの売上計上洩れが見つかり、当事務所の助言により自主的に修正申告を提出し納税して終了しました。

 

④ 6月 不動産売買仲介会社

 

役員従業員6名 設立後5期 毎期かなりの利益を計上し、税金を納めている。

社長は30代で売上、利益とも急成長している。

交際費は1600万を超え、800万は損金不算入となっている。旅費交通費や会議費も金額が多く、社長の個人的な経費が入っているのではないかと税務調査に選定されたものと思われる。7月の税務署の異動をはさみ、担当者も入れ替わって3回面談を行う。

問題点は3つ、1つ目は、330万の土地の紹介料(情報提供料)が本当に支払われているのかどうか?現金払いであることと受け取った相手の社長が受け取っていないと言っているため。

2つ目は、社長が行っている出張費に家族の分が含まれており、事業の必要性があったのかどうか?

3つ目は、旅費交通費の中に交際費と思われる費用があり、また交際費の中に社長に対するものが多額に含まれているのではないかということでした。

12月までもつれこみましたが度重なる交渉の末結論が出ました。

1つ目は、相手の社長が修正申告をすることで結着。2つ目は、社長以外の人の分については、社長への貸付金として修正する。3つ目は、税法が定める交際費の定義に該当しない旨主張することで、旅費交通費であると認められ、2つ目のみの修正申告となりました。

半年間に及び税務調査が修了し社長は、ほっとして感謝していました。今後はもう1社設立し、幹部に仕事を任せるなどし、交際費の800万の枠を合法的に生かす節税を実行します。

 

⑤ 10月 個人事業主

 

電気通信業を4年程やっていたが今年から廃業して父親の会社に入っている。申告してきた4年間について税務調査になった。

売上が900万前後で消費税の免税ギリギリのため選定されたと思われる。本人の意向により自主的に修正申告。

幸い、当初の本人が作成した申告書に経費の算入もれがあり、それを認めてもらうことで結果として還付になる。経費に多少の問題があったが、再修正することなく修了。本人はほっとした。

 

⑥ 11月 記帳代行業者からのSOS

 

担当先の個人が税務調査になった。確定申告は、納税者本人が自己申告している。至急会って問題点を検討する。

記帳代行業者のミスもあり修正申告となるが最低限の被害で本人は、ほっとする。今後は当事務所で点検のうえ申告することとなった。

 

上記のほかにも、当事務所で継続中の税務調査も数件あります。いずれにしましても、納税者の代理人として、税務署側の一方的な指摘にも怯まず、毅然として納税者側の主張を代弁し、不当な課税処分が行われないよう全力を尽くします。 

 

税理士法人 とりやま財産経営 代表 鳥山昌則

 

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